仕立て屋の恋
監督: パトリス・ルコント
出演: ミシェル・ブラン / サンドリーヌ・ボネール

<ストーリー>
孤独で無口な仕立て屋のイールは、向かいの部屋に住む魅力的なアリスの姿を1人のぞき見ながら、彼女への想いを募らせてゆく。
アリスは彼を利用すべく徐々に彼を誘惑。
彼女の裏切りを感じながらも、彼が貫いた愛の結末は…。

ジョルジュ・シムノンの同名の原作がもつサスペンス性に加え、「究極の愛こそ悲劇的」というテーマにも挑み、心の奥底にずっしり響く作品に仕上がっている。
監督は『髪結いの亭主』『イヴォンヌの香り』など、フランス映画界の巨匠パトリス・ルコント。
哀愁あふれるブラームスの四重奏曲、『他人のそら似』のミシェル・ブランの名演技、繊細であでやかな映像美など、見どころ満載の秀作だ。

愛や自尊心は、他者からの認識を必要とするものであり、だからこそ、自分が傷つきたくない人間は、自己に対する評価が剥き出しにされる人間関係を忌避するのでしょう。
大切なのは自分の価値を他者に委ねるのではなく、自分で価値を作り出すことと、その価値すら「相対的関係の元に始めて成立するものである」という認識を常に持っておくこと。
他者ありきの流動的価値は、その関係性が崩れた時、即、自己の立脚点を見失う危うさがあります。
この仕立て屋も自己の価値を他者に委ねてしまう弱さがあったのだと思います。
人間関係を否定してきたのは、自分の価値の無さを認識したくないからであり、それを認めてくれる人間が現われた時の脆さがよく表現されています。
ラストのセリフすら、「彼女に対する愛を貫く利他行動」を示すものではなく、自分の立脚点を否定したくないためのエゴイズムでしかないのです。

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忘れられない人
監督:トニー・ビル
主演: クリスチャン・スレイター /マリサ・トメイ

<ストーリー>
ウェイトレスのキャロライン(マリサ・トメイ)は、暴漢に襲われかけたところを、同じ店で働いている孤児院出身の無口な青年アダム(クリスチャン・スレイター)に助けられた。それを機会に、次第に恋に落ちていくふたり。しかし、アダムは心臓を病んでおり、さらに以前キャロラインを襲った暴漢からの仕返しを食らってしまい、彼は大怪我を負ってしまう…。

寂しい都会の喧騒のなか、ささやかに生きる若者たちの悲恋を切々と描いたラブ・ストーリー。小品ですが、邦題のとおり、ちょっと忘れられない余韻を残す佳作です。

製作・監督は、俳優出身で、アカデミー賞受賞作『スティング』のプロデューサーとしても知られるトニー・ビル。

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